Wienners 「TREASURE」(2022)初聴レビュー

 

 

01. SOLAR KIDS
02. GOD SAVE THE MUSIC
03. MONSTER
04. ブライトライト(クラシエフーズ「たべる図鑑 恐竜編」CMソング)
05. BIG BANG
06. Magic Bullet Music
07. HORO NOVA AZIO
08. FACTION(フジテレビ系TVアニメ「デジモンゴーストゲーム」OPテーマ)
09. BRAVES
10. 日本中 I WANT YOU
11. SHINOBI TOP SECRET(テレビ東京系TVアニメ「ニンジャラ」EDテーマ) 
12. よろこびのうた
13. LIFE IS MY LANGUAGE
14. 真理の風

 

このレビューはフラゲ日に一聴した直後に書いたもので、

まだアルバムの全体像を把握しきれてない状態での、さしあたっての感想。

 

前作、「BURST POP ISLAND」という作品で”自分たちらしさ”という大きな武器を手に入れ、その”らしさ”を確実に伝える為のフォームを習得したWIENNERS

その彼らが持つ、ポテンシャルや今のスキルを使って、喜怒哀楽の”喜”と”楽”という2つの感情のみを表現することに思いっきり振り切った多幸感100%、もとい2060%の強力な作品だ。

 

収録曲、「GOD SAVE THE MUSIC」がまさにそうだが、バカテクなリズム隊による難解で複雑で超高速の演奏の上に、歌あり、シャウトあり、ラップあり、合唱ありの目まぐるしい展開が生み出すコミカルさ、ユーモアが、今のWIENNERSの楽曲、というかWIENNERSそのものの特徴だと思う。

 

それも、彼らの初期の曲にあった、やや人を喰ったような天邪鬼なユーモア感とは違い、「Treasure」はアルバムにある全ての要素がポジティブだし、ストレートだし、衒いがない。なによりメンバーが確実に超楽しみながらアルバム制作をしているであろう事が伝わってくる。

 

それと関係することだが、今作は子供を対象にしたような曲の印象が強かった。

「FACTION」はデジモンの主題歌、「SHINOBI TOP SECRET」はニンジャラのエンディング、「ブライトライト」は子供向け知育菓子のCMソングだし、

「MAGIC BULLET MUSIC」「日本中 I WANT YOU」の歌詞も、どこか子供に向けた内容に感じる。

おまけに塗り絵付き。

「アニメの主題歌にもなったぐらいだし、WIENNERSもそろそろ子供人気を・・・」的な戦略というよりは、前述したような今のWIENNERSの持つポジティブさや、ハイテンションなコミカルさが、自由奔放でエネルギーの塊のような子供という存在に、ちょうどフィットして、自然にこういう路線の曲が多くなったのではないか?と思う。

ひょっとしたら前作収録曲、「KINDERGARTEN SPEED ORCHESTRA」を作った事でなにか掴んだのでは?

まあ若干、無理矢理なこじつけだが。

 

あと、音楽的な部分で特筆すべき点は、ヒップホップ要素が増えた事だろう。

単純にラップが用いられている曲が多いのもそうだし、一定のリズムを確実にキープしたまま上に乗っかっているボーカルでグルーヴを作っていくWIENNERSらしからぬ曲があったり。このあたりは、今年リリースのリミックスアルバムの影響もあったりするのかな。

ヒップホップといえば、バンドの代表曲、蒼天ディライトを昔聴いた時に”00年代の日本語ラップっぽいアプローチ”の歌詞だなと思った。

日本語としてハッキリと聞き取れるかどうかよりも、詩をオケに乗せた時に生まれるグルーヴ感や単語を口にした時の気持ちよさを優先したラップの手法に近いという意味だ。

今作では玉屋2060%さんによるそっちの引き出しがガンガン使われていて、もはやボーカルも楽器の1つとして扱われているような曲が多い。

サエさんのボーカルパートはこれまで無い以上に大変そうだぞコレは。

 

ちょっと、思った事をバーっと書いてみたが、まだまだ全然アルバムのふわっとした印象すらつかめてない感じなので。

なんせ、「全14曲・90展開」の世界だし。

 

前作「BURST POP ISLAND」という、バンドの基礎体力・腕力を見せた作品の次に、

さらに「コミカル・面白い・ポジティブ」要素をドカ盛りしたエネルギッシュなアルバムが完成した。という感じか。

 

とりあえず、言えることはこれはまた次のアルバムが出るまで毎日聞くことになりそうだな、ということ。

「BURST POP ISLAND」はマジで二年間聴いてたな。まあこれからも聴き続けるだろうけど。

 

 

追々、全曲解説なんかもやってみたいと思ってます。

 

 

 

WIENNERSの6枚目のアルバム「TREASURE」発売まであと少し!②

ニューアルバム「TREASURE」についてだが、玉屋氏いわく

「音楽人生史上過去最高傑作」と言えるほどの出来らしい。

クリエイターが自身の最新作に関して「そこそこの作品ですね」などという微妙な評価を下すような事は、まあ滅多にないとは思うが、玉屋氏自身の口からここまでの発言が出たことは今まで無い事なんじゃないか。

 

一体どんな内容のアルバムなのだろう。

 

wiennersは、アルバムごとにサウンド面や楽曲の雰囲気に変化があるバンドではあるが、いわゆる”マンネリ化を防ぐために意識的に毎度異なるテイストや方向性のアルバムをリリースする”ようなタイプではなく、あくまで自分たちの理想のサウンドをライブも含めたバンド活動を通して常に探究、模索し続けているが故の変化、及び進化という感じだった。

スピード感やサンプリングの密度、メロディのポップさに重きを置き、曲を聞いて「いかにブッ飛べるか」をテーマにしている姿勢は12年前のファーストアルバム(「CULT POP JAPAN」)から一貫してブレていないのだが、そういったバンドの価値観をなるべく多くの人と共有できるようにするが為に時に微妙に、時に大胆に投球フォームを変え続けてきたのであろう。

それが6枚目にしてはじめて、ストレートに前のアルバムの延長にあるような、いわば「パート2的なもの」を出してくるのではないか?と僕は予想する。

理由は、すでに発表されている4曲(GOD SAVE THE MUSIC,FACTION,ブライトライト,SHINOBI TOP SECRET)が「BURST POP ISLAND」に入っていても違和感がないと感じるほど、前作でのやり方を引き続き踏襲しているような楽曲群だからだ。

それは、「BURST POP ISLAND」での手法がwiennersというバンドの1つの到達点であり完成形であることの証明なのではないだろうか。

 

2020年発売の前作はwienners史上でもかなりの名盤で、僕は発売から2年経った今でも、ほぼ毎日アルバムの曲を聴いているぐらいだ。

11曲入り30分のアルバム全体を通して統一感があり、整理されていて、かつハイテンションのまま最後まで駆け抜けるような作品。

それまでのwiennersのアルバムには無かったテイストだと言っていい。

 

「BURST POP ISLAND」に関しては個別に取り上げたいと思うので、細かい話はここでははぶくが、あのアルバムの制作を通して、彼らがそれまで追求していたであろう、いわゆる「wienners節」的なものの方法論をガチッとモノにしたんじゃないかと思う。

 

「こういうジャンルや、ああいうテーマを、もしwiennersが奏でるとこうなるよね!」というメンバー同士で共通するパターンのようなものがあの辺でしっかり確立されたんじゃないかな。

 

だからこそ、あいかわらず、パンクもハードコアも歌モノもダンスもヒップホップもスカもオーケストラの要素までもがブチ込まれているのにも関わらず、前述したようにwiennersという1人の人格が全ての曲を演奏しているような統一感をあのアルバムからは感じるのだ。

 

例えば、ニューアルバム「TREASURE」に収録されている先行シングル「GOD SAVE THE MUSIC」という曲。

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この曲は吉祥寺のライブハウス、ワープの支援コンピアルバムのために作られたもので、なんとリモートでのやり取りのみで、僅か1週間ほどで製作されたものらしい。もはや彼らは、これだけ破茶滅茶でカオスな楽曲をサラッと作れてしまう程のバンドなのだ。

驚きではあるのだが、同時に僕はこの曲の方法論こそがまさに「BURST POP ISLAND」以降確立した今のwiennersの「らしさ」を凝縮したものであると思っているので、ある意味、現在の彼らにとっては超ストレートなアプローチなのかもしれない。

 

付け加えると、最近のwiennersの楽曲には、ヌケの良さだったり、もっと言えば独特のユーモア感による余裕のようなものが全体に漂っていて、そこが非常に良い。

いや、”自分たちにしか作れない独自の方法論”という強力な武器を手に入れた事による余裕が出せるからこそのユーモア感なのか。

 

なんだかダラダラと書いてしまったが、ニューアルバム発売5日前にして今僕が思っていることをまとめると前作「BURST POP ISLAND」は超絶名盤だったから、引き続きあの路線で行くんじゃないかなということ。

 

当然、言うまでもないことだが、アルバムを聞いていないのでこれは僕の勝手な予想にすぎない。

全然、予想していた感じと違う内容になっていたという事も大いに有り得る。

例えば今の方法論を更に推し進めてアップデートされたバンドの音が聴けるとか。

もしくは、今までのwiennersには無かった、全く新しいタイプの曲が入っているとか。

どんな形であれ、あの4人が作るんだから良いものには違いないはずだ。

僕の中でここまで、絶対的な期待と信頼感を抱いているバンドは他に居ない。

早く聴きたいなぁ。

 

 

 

WIENNERSの6枚目のアルバム「TREASURE」発売まであと少し!①

来る7月20日に、WIENNERSの6枚目のフルアルバムがリリースされる。

 

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楽しみすぎる・・・

あまりに楽しみなので、勢いでブログまで作ってしまった。

 

僕が日本で一番好きなバンドは以前までは、ダントツでTHE MAD CAPSULE MARKETS(とAA=)だったのだが、現在は専らWiennersのファンだ。この6年ほど、もうぶっちぎりでハマり続けている。

 

このバンドの魅力やこれまでの道のり等については追々詳しく記していくつもり。

知らない人に向けて、だいたいどんな感じの音楽か大雑把に説明すると「サンプリング・カットアップの密度とハードコアパンクのスピード感を生のバンドで再現して、そこに色んなジャンルの音楽をまぜこぜにした、超絶POPなバンド」といった感じ。

 

とにかく、速くてカオスでハイテンションでポップファンシーでカラフルなライド型アトラクションの中をジェットコースターで爆走しているような感覚で、しかも1曲の中で何度も転調し、大胆にジャンルごとコロコロと変化していく展開のカオスっぷり。

 

で、ここが重要だと思うのだが、これほど破茶滅茶な構成の音楽性であるのに対し、楽曲・ライブ、ひいてはバンドそのものの醸し出す雰囲気は、それこそ楽曲が子供向けアニメのOP曲に採用されるほどに極めてポップでキャッチーなのだ。

 

個人的にはミュージシャンでも漫画家でも映画監督でも、凄い技術力なりアイデアなりを、誰にでも伝わる明快さやシンプルさで提示する事ができる作り手が好きで、

wiennersのメンバー4人のスタンスや資質も、そっちのタイプなんだろうと思っている。

だから僕は、wiennersの音楽だけではなく彼らが発信するもの全てが好きなのだ。

 

全然、ニューアルバムについての話をしないまま②へ続く・・・